- 2020/01/08
- 院長のひとり言
- 今回の整骨院の不正請求問題はこれまでの問題とは違う!
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最近テレビを見ていると
整骨院の不正請求問題がよく取り上げられているようだ
今回の不正請求問題は今までしばしば話題になった
知り合いから保険書を借りて不正請求したり
1回しか行っていないのに毎日請求したりする不正とは
まったくレベルの違う整骨院の業界の根幹に関わる問題だと思う
整骨院で保険診療できるのは外傷だけで
どんな痛みでもその原因が外傷でなければ
保険適用してはならないのがルールです
ところが現在の整骨院のほとんどが
高齢者の神経痛や肩こりのマッサージを
ワンコインで保険診療している
今回はその事を不正請求と問題視されているのだ
一般の利用者にとっては
ワンコインで気持ちよくマッサージしてもらえるので
とても身近な癒しの場だと思うのだが
実は転倒や打撲などのケガの治療以外の
マッサージや癒し的なケアを施術と称して行って
捻挫や打撲と偽って保険請求しているので
整骨院を利用しているほとんどの人が
知らない間に不正請求の片棒を担がされているのだ
と、こんな風に書くと柔整師は悪い奴らだ!と
思われるかもしれないが
私も柔整師の端くれなので今回の不正請求問題を見ていると
身につまされる思いがする
そもそも私は高校生の頃にテニス部の
部活動で腰痛をおこし
近所の整骨院でお世話になったことから
整骨院の先生は凄い!と思い
治療家の道を志したのです
そして高校を卒業して柔整師の専門学校へ進学
病院で研修をしながら鍼灸の専門学校へ行き
25歳で開業しました
開業してからはじめて知ったのですが
整骨院で保険診療できるのは
骨折、脱臼の応急処置
捻挫、打撲、挫傷の手当だけだったのです
私は高校生の時に腰痛でお世話なりましたが
あれはテニスのやり過ぎによる筋肉疲労だったので
捻挫でもない非外傷性の痛みだった
だから厳密には不正請求されていたのでした
その事を知った時の驚きと怒りは
とても文章にできるようなものではありません
しかし
その事を知ったのは鍼灸整骨院を開業した後だったので
今さら引き返すことはできずに
「亜急性捻挫」という病名にすがりついて
高齢者や学生の痛みを治療していました
「亜急性」とは知らず知らずのうちに
捻挫や肉離れをおこしてしまうことです
要するに原因が分からなくても亜急性捻挫として
扱えば保険的には問題がなかったのです
だから亜急性という言葉を使えば
高齢者の関節痛や神経痛も診ることが出来るし
スポーツでの使い過ぎによる痛みも見ることが可能だった
ところが開業してしばらくした頃から整骨院の乱立が始まり
整骨院の過当競争が激化した
同じころに整形外科の数も増えてきて
整形外科との競争も始まりました
駅前でクーポン付きのビラ配りをしたり
タイムサービスをしたり
保健医療機関としては絶対にしてはならないことを
大っぴらに行う整骨院がチェーン展開するようになって来た
そのころから整骨院は治療院ではなく
クイックマッサージに行くのを節約するための
チープなワンコインマッサージ屋に成り下がってしまった
それが今から15年ぐらい前のころだったと思います
その頃私は柔整師としてのプライドはズタズタで
名刺にも柔整師と書かないほどでした(笑)
そして私は決心したのです
「どんなに貧乏しても治療家として胸を張って生きて行く」
「保険に頼らない鍼灸院として一からスタートしよう」
次の日からは、いつ、どこで、何をして、ケガをしたのかが
ハッキリと説明できる人だけを
保険診療するようになり
今では逆に保険診療しない本格的な中医学的治療をする
鍼灸院を探している患者さんが
遠方から通院する鍼灸院になりました
私が保険から脱却しようと四苦八苦している間も
柔整師達は保険診療の甘い蜜に踊らされて
健康保険のメチャクチャな運用を続けた結果
とうとう厚労省が去年から「亜急性」という言葉を
保険適用外として原因が分からない痛みは
整骨院で保険診療できなくなりました
今回の不正請求報道もこの事がきっかけです
そうなると呼び込みをしてチェーン展開している
マッサージを目的とした整骨院を利用する人達の
ほとんどがマッサージや癒し目的なので不正請求となり
「亜急性」という言葉が使いえないので
言い逃れできない状態に追い込まれました
そして今回のような不正請求問題が
大々的に報道されることになったのです
私は自分がそうだったように
未来に希望を持って治療家になろうと
柔整師の専門学校で高度な医療知識を習得して
苦労して国家試験に合格して柔整師になった若い人達が
いくら真面目に働いても不正請求していると言われてしまうのが
本当に身につまされる思いでならない
今年は整骨院チェーンの倒産が相次ぐことが予想されます
その結果として若い柔整師の大量失業が起こるでしょう
それでも
若い人達もどうか柔整師のプライドを忘れないで
治療家として胸を張って生きて行けるように
全うに精進してもらいたいと思うのであります。
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