• 2024/11/13
  • 鍼灸・東洋医学
鍼灸師の資格があるのに国際中医師の資格の意味あるの?

患者さんから
「鍼灸師の資格があるのに上海中医薬大学に
入学して国際中医師になったんですね」と
不思議そうに尋ねられた

そういえば看護師でも放射線技師でも
資格があるのにわざわざ違う資格を取りに
行く人はあまりいないだろう

そういう意味では鍼灸師は他の
医療系の資格と違う事情があるような気がする

鍼灸師は養成学校を卒業して国家試験で
合格して資格を取得するが
実は国家試験では解剖学、生理学、病理学
衛生学などの西洋医学の学科ばかりで

東洋医学の勉強はツボの名前や場所を
覚えるぐらいでほとんど勉強していない

なのに試験に合格したらいきなり
東洋医学のスペシャリストという
目で見られてしまう

しかも医師の指示のもとに仕事を
するのではなく
自分で診察して治療しなければならないし
医師のようにインターン制度がない

さらに鍼灸治療に来る患者さんは
あちこちの病院でいろいろ治療したけど
何をやっても治らないので西洋医学に
見切りをつけて東洋医学に期待して
こられる人が多いので

鍼灸院で西洋医学的な説明をしても
「ここも病院と同じか」と
失望されてしまうので

治療家として患者さんと信頼関係を
構築するためには東洋医学の知識がないと
なかなか難しい

だから鍼灸師は他の資格と違って
鍼灸治療で生活していけるのは
わずか3%だと言われるのである

私は関西にある鍼灸の学術団体の
ほとんどのセミナーや講習会に
参加して東洋医学を学んだが

どこも東洋医学の中の一つの
診察法に頼った治療法ばかりで
東洋医学の全体像が分からないのである

よく看板に○○式とか、○○学会会員
などと書いてあるのはそういう
学術団体で勉強している人だ

しかし私にとって東洋医学の全体を
知らなければ東洋医学的な用語を使って
患者さんを煙に巻くことしかできなかった

だから本当に東洋医学で患者さんを
治すためには大学で中医学を基礎から
学ぶしかないと考えたのである

国際中医師は鍼灸治療だけでなく
漢方薬の勉強も必要なので
私としてはとても苦労したが

大学で中医学を初歩から学んだおかげで
西洋医学の素晴らしさも東洋医学の
素晴らしさもハッキリ分かるようになり
しっかりと治せる鍼灸院であると
胸を張ることができるようになった

鍼灸師でありながら国際中医師の
資格を取る人は非常に珍しいので
今となっては他所の鍼灸院との
差別化ができてよかったと思っている

中医学を基に東洋医学的な治療が
できる数少ない鍼灸院として
これからも役割を果たした行きたいと
思っている今日この頃である。


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