- 主な症例と施術法
脳卒中後遺症
- 分類
- 脳卒中の分類
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昔は脳いっ血と呼ばれていたが、その後脳卒中という病名で呼ばれるよになり、近年では脳血管障害の総称として、脳卒中という呼び名を使うようになっている。脳卒中とは以下の脳血管障害の総称である。
1.頭蓋内出血脳出血クモ膜下出血2.脳梗塞脳塞栓脳血栓3.脳動脈硬化症4.その他
- 後遺症
- 脳卒中の後遺症
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脳卒中は生命に関わる重篤な病気であるとともに、生命が助かっても大きな障害が残り、本人はもとより家族の生活をも左右することも少なくない。
後遺症の種類
①片麻痺体の左右片方が麻痺する後遺症で、右脳に損傷があると左半身麻痺になり、左脳が損傷されると右半身麻痺になる。片麻痺の症状は感覚麻痺と痙性麻痺を伴い、上肢では肘、手関節、指関節が屈曲拘縮し、下肢では下腿と足関節が伸展位に拘縮する、マン・ウエルニッケ拘縮となる。
②言語障害右半身麻痺には言語障害を伴うことがある。言語障害には言葉や文章を組み立てられない構語障害と言葉を話す声を発生できない構音障害とがある。
③視覚・感覚障害視覚障害では片側半分が障害をうける半盲がおこります。脳卒中では両目の半分が見えないので、半側空間無視という症状があらわれます。感覚障害では麻痺側の感覚が鈍感になっているので、痛みや熱感、冷感などが分からなくて怪我をすることも多い。
④情緒障害脳卒中は多くの場合なんの前触れもなく突然発症し、片麻痺や言語障害などの重篤な後遺症害をのこし、社会生活や家庭生活までも脅かします。そうした突然の環境の変化に精神的に参ってしまい、情緒障害をきたし躁鬱状態で感情の起伏が激しくなったり、全く感情が無く無表情になることもあります。また、脳の障害された部位によって性格や人格が全く別人のようになることもあります。
- 弁証
- 脳卒中の中医学的弁証
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脳卒中は中医学では卒中又は中風と呼ばれている。急に発症する、変化が激しく、症状が全身に及ぶことから、風の性質とよく似ているので、中風と呼ばれるようになった。
中風の発生機序は複雑であるが、下記の六つに分けられる1.虚 陰虚、気虚2.火 肝火、心火3.風 肝風、外風4.痰 風痰、湿痰5.気 気逆6.血 血以上のうち肝腎陰虚を中心に考える
後遺症1.半身不随2.言語障害3.口眼歪斜
- 挑戦
- 当院の脳卒中への挑戦
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今から三十年前、柔道整復師の資格を取得する専門学校に通いながら、門真にある吉川病院のリハビリテーション室で勉強していた。吉川病院は、大阪府下でも交通事故が最も多い大日の交差点の近くにあり、患者の約半数が交通事故、残りの5割のうちの半分は脳卒中で救急搬送されてきた患者でした。その頃は理学療法士の資格制度が出来たばかりで、町の病院のリハビリテーションは柔道整復師が担っていました。その頃脳卒中の後遺症害の患者さんを専門に治療していましたので、当院では脳卒中後遺症害の治療は絶対の自信があります。
1.拘縮対策脳卒中後遺症では手足がマン・ウエルニッケ拘縮という特有の屈曲拘縮をきたします。しかも痙性麻痺といって、関節を他動的に屈伸させようとすると、律動的に抵抗する。
オンパー超音波治療機で手足を温めて、関節のリハビリをするのが基本です。患側のみならず健側もストレッチします。
2.筋力トレーニング筋肉は動かなければ痩せてしまい、患側の三角筋などが痩せると、肩関節が脱臼する危険性がありますので、早い段階から肩関節の筋力をトレーニングしていきます。
3.動作練習片麻痺に限らず、体の動きに制限がある疾患を患うと、健康な時には無意識に行っていた、寝る、座る、立ち上がる、歩くなどの動作を忘れてしまいます。例えば椅子から立ち上がる時に、我々は無意識に頭を一度前へかがめて斜め前方へ向かって立ち上がっていますが、片麻痺の患者さんは座った姿勢からそのまま真上に向かって立とうとしますが、それでは立つことはできません。人間の骨格形態や力学的観察をすることから、それら全ての動きを指導していきます。
4.作業療法片麻痺では患側の機能が失われているので、生活に支障をきたすことが多いが、患側の機能回復とともに自由に動く健側やで、今までと同じ事ができるように稽古します。衣服の着脱、食事、入浴、文字を書く、などの日常生活動作を右手が麻痺すると、左手で出来るように訓練します。